天才達の目指す自由とは?「テクノ・リバタリアン」
- ホームページ管理人
- 2024年5月25日
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著者は橘玲さんです。以下、概要です。
テスラのイーロン・マスク、ベンチャー投資家のピーター・ティール、オープンAIのサム・アルトマン、イーサリアムのヴィタリック・ブテリンなどの天才たちは何を求めて技術開発をしているのか。リバタリアニズムとは何か?リバタリアニズムの限界は何か?などに加えて、映画「X-MEN」の大まかなストーリーも書かれており、リバタリアンの思想を学んだ後に「X-MEN]まで見たくなる一冊です。
リバタリアンは中央集権的な組織を否定する、究極的には中央集権的な組織の代表である政府を否定して、個人が誰にも干渉されない自由を志向する思想らしいです。本を一冊読んでみたものの、私としてはリバタリアンの目指す具体的な世界像が思い描けません。それに、政府がない場合、誰が警察権力を行使するのか、軍隊は誰が指揮するのか、などの問題が発生し、政府が存在しない社会をつくってしまうとたちまち安全な社会が失われてしまうのではないかと思いました。
この本でも、結局のところリバタリアンの目指す自由は、暗号通貨によって個人対個人の取引の自由は実現できうるものの、現実世界の中で自由を実現するのは、生命の安全の観点から不可能であるとの結論を示しています。
ただしイーロンマスクは完全なる自由をあきらめておらず、火星への移住を目指す企業(スペースX)を運営しています。
他にもリバタリアンの思想として、死からの自由を目指すというものがあります。まずは肉体を機会に置き換え(サイボーグ化)、続いて脳をコンピューターに置き換えるらしいですが、私としては、それは意識の一貫性が失われるのではないかと思います。意識の一貫性が失われることは死んでいるのと変わらないのでは、と思いました。
リバタリアンはいずれ人間の労働の大多数が機械に置き換わる未来も想定しています。その場合に人々の生活を担保する方法としてベーシックインカムを主張しています。ただしベーシックインカムを行おうとすると、偽アカウントを排除し、誰が現実に生きている人間なのかを区別する必要があります。そうすると、結局国家の保有するデータが必要になり、中央集権的組織を否定することができなくなる、というパラドックスもあるようです。
リバタリアンの思想はSF的未来を実現しようとしている点でとても面白いですし、中でもイーロン・マスクの様々な挑戦は応援したくなります。鉄腕アトムを読んでロボット製作に情熱を燃やした人々がいるように、子供の頃に親しんだコミックやSF小説、ゲームに影響されて技術開発に勤しむ人々、それがテクノ・リバタリアンなのではと思いました。
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